実家じまいを進めたいと思っても、片づけや処分、家の修繕などを考えると、「今はそこまでお金をかけられない」と感じることがあります。
けれども、実家じまいは最初からすべて終わらせる必要はありません。
まとまったお金をすぐに用意できないときは、まず、
- 今確認すること
- 小さく進められること
- あとに回せること
に分けて考えてみましょう。
「お金がないから何もできない」「費用を出せないなら、すぐ家を売るしかない」という二択ではありません。
この記事では、実家じまいに必要なお金を一度に出せないとき、どこから確認し、どのように作業を小さくして進めればよいかを整理します。
実家じまいするお金がなくても、まず確認から始められる
最初にすることは、家中の物を処分したり、解体業者や片づけ業者と契約したりすることではありません。
まずは、次のようなことを確認します。
- 実家を今後どうするか決まっているか
- 手続きなどで急ぐ期限があるか
- 建物や敷地に安全上の問題がないか
- 誰が判断や契約をできる状態なのか
- 今の段階で、どこまで片づける必要があるのか
たとえば、まだ家を残すか売るか決まっていないのに、家財をすべて処分してしまう必要はありません。
反対に、重要な書類を探す必要がある、通路を確保したい、雨漏りなど家の状態を確認したいといった事情があれば、その部分だけ先に対応できます。
親が存命の場合は、子どもだけで処分を決めず、本人の意向を確認することも大切です。
処分や契約へ進む前に確認したいことは、「実家じまいでやってはいけないことは?失敗を防ぐ7つの確認ポイント」でも整理しています。
費用を「今確認する・小さく進める・あとに回せる」に分ける
実家じまいにかかる費用を考えるときは、総額だけを見るのではなく、「今そのお金が必要なのか」を分けて考えると整理しやすくなります。
| 分け方 | 具体例 | 最初にすること |
|---|---|---|
| 今確認する | 期限、安全面、家の名義や契約できる人、管理上の問題、家の今後 | 必要な確認先を決める |
| 小さく進める | 重要書類を探す、残す物を分ける、必要な場所だけ片づける、見積もりを取る | 作業範囲を限定する |
| あとに回せる | 方針が決まっていない段階での全面処分、解体、大がかりな作業 | 保留理由と次に確認する時期を決める |
ここで重要なのは、「あとに回す=費用がかからない」という意味ではないことです。
空き家として残している間も、家の状態によっては見回りや修繕、保険、電気・ガス・水道などの確認が必要になることがあります。
それでも、家の方針が決まっていない段階で大きな費用を先にかけるより、「今必要なこと」と「まだ決めなくてよいこと」を分けることで、一度に必要になるお金を抑えられる場合があります。
実家じまいで何に費用が発生するのか全体を確認したい場合は、「実家じまいの費用は何にかかる?片づけ・家の扱い別に整理」も参考にしてください。
片づけ費用を一度にかけないために作業範囲を小さくする
実家に物が多いと、「全部片づけるにはいくらかかるのだろう」と考えがちです。
しかし、今必要なのが家全体の片づけとは限りません。
まずは、重要書類や残したい物、家族への確認が必要な物を探すことから始める方法があります。
そのうえで、
- 玄関から室内までの通路だけ
- 必要な部屋だけ
- 大型家具の搬出だけ
というように、必要な範囲へ作業を絞ることもできます。
業者へ相談するときも、「家一軒を全部片づけた場合」だけでなく、どこまで作業を依頼するのかを明確にして見積もりを取ると、今必要な費用を整理しやすくなります。
自分たちでできる仕分けと、搬出や処分など依頼したい作業を分ける方法もあります。
ただし、費用を抑えるために無理をして大型家具を運んだり、危険な解体作業をしたりする必要はありません。
片づけの進め方そのものを確認したい場合は、「実家の片づけは何から?残す・売る・処分するものを整理する手順」へ、片づけ費用の見積もりについては「実家・空き家の片づけ費用はどれくらい?見積もりの内訳と確認点」へ進んでください。
売却予定でも、片づけや解体を先に終えるとは限らない
実家を最終的に売却する予定でも、査定や相談をする前に家財をすべて処分したり、建物を解体したりするとは限りません。
まず不動産会社などへ、
- 家財が残った状態でも相談できるか
- どこまで片づけておく必要があるか
- 建物を残した状態と解体した場合でどう違うか
- 残っている物をどう扱うことになるか
を確認してから、必要な作業を決める方法があります。
片づけや解体にまとまった費用が必要だからといって、先に契約してしまう必要はありません。
一方で、「売ればその代金で片づけ費用を払える」と決めつけることも避けたいところです。
売却価格や売却条件は、実際に話が進むまで確定しません。まだ決まっていない売却代金を、先に使えるお金として計算しないほうが資金計画を立てやすくなります。
売却を考えている段階でどこまで片づけるかは、「実家を売る前の片づけはどこまで必要?査定・売却の相談前に確認したいこと」で詳しく整理しています。
売却そのものが難しそうだと感じている場合は、「田舎の実家が売れないときは?状況を整理して相談先を考える」も参考にしてください。
補助金・助成制度は使える前提にせず自治体へ確認する
実家じまいに関連して、空き家の改修や解体などを対象とした補助・助成制度を設けている自治体があります。
ただし、制度があることと、自分の実家が対象になることは別です。
確認するときは、
- 対象になる地域
- 対象になる建物
- 申請できる人
- 対象になる工事
- いつ申請する必要があるか
- 現在も受け付けているか
- 他の制度と併用できるか
まで自治体の公式情報で確認しましょう。
「補助金があるはずだから」と先に業者と契約したり、使える金額を資金計画へ入れたりするのではなく、まず実家のある自治体へ制度の有無と条件を確認するのが安全です。
制度が使えなかった場合でも進められるように考えておくと、実家じまい全体の予定も立てやすくなります。
家財の買取は使えるが、まだ分からない金額を予算に入れない
実家に売れそうな家財や品物があるなら、処分する前に査定を検討できます。
ただし、査定を受ける前から、
「これを売れば片づけ費用になる」
と金額を見込むのは避けたほうがよいでしょう。
品物が売れるかどうか、いくらになるかは査定してみなければ分かりません。
まずは、
- 残す物
- 家族への確認が必要な物
- 査定してみたい物
- 処分を検討する物
を分けてから進めます。
特に遺品の場合は、売却や処分の前に残しておくべき物がないか確認してください。
詳しくは、「遺品整理で買取を利用するには?売りたいものの確認と依頼先の選び方」と、「遺品整理で捨ててはいけないものは?処分前に保留したい品物と確認先」で整理しています。
なお、買取と不用品回収は同じサービスではありません。「売りたい物の査定」と「処分したい物の回収」を分けて考えましょう。
何もしなければ0円とは限らない
まとまった費用を出せないと、「とりあえず何もしないでおこう」と考えることもあります。
実家の処分や売却を急ぐ必要はありませんが、保留している間に何を確認するかは決めておきましょう。
たとえば空き家になっている場合は、状態に応じて、
- 定期的な見回り
- 建物や庭の管理
- 火災保険などの確認
- 電気・ガス・水道をどうするか
- 必要な修繕
- 郵便物や周囲の状態の確認
などが必要になる場合があります。
すべての空き家で同じ費用が発生するわけではありません。
だからこそ、「今は売らない」と決めた場合も、何を残し、何を止め、何を確認し続けるのかを整理しておくことが大切です。
家を残すか、管理するか、手放すか迷っている場合は、「実家が空き家になったらどうする?残す・管理する・手放す選択肢」から整理できます。
誰が払うか決まっていないなら契約前に共有する
実家じまいでは、「誰がお金を払うのか」が決まらないまま話が進むこともあります。
ここでは、
- 見積もりを取る人
- 契約する人
- いったん支払う人
- 最終的に費用を負担する人
を同じものとして考えないことが大切です。
家族で費用負担を決めていないなら、高額な作業を契約する前に一度共有しておきましょう。
実家じまいで発生する費用全体や負担を考えるときの基本は、「実家じまいの費用は何にかかる?片づけ・家の扱い別に整理」で確認できます。
お金がないときは、この3つから始める
実家じまいに使えるお金が少ないからといって、最初からすべてを止める必要はありません。
反対に、早く終わらせようとして、片づけ・解体・売却などを一度に進める必要もありません。
まずは次の3つから始めてみてください。
-
今すぐ確認する必要があることを書き出す
期限、安全面、家の今後、残す物、判断できる人などを確認します。
-
一度に全部頼まず、必要な範囲だけ見積もる
片づけなら場所や作業を限定し、今必要な金額を確認します。
-
今決められないことは保留し、次に確認する時期を決める
「いつか考える」ではなく、「誰に確認するか」「いつもう一度考えるか」まで決めておきます。
実家じまいは、一度に家を空にすることではありません。
今決める必要があることと、まだ決めなくてよいことを分けるだけでも、次にやることは見えやすくなります。
まず今日できることとして、「今確認すること」「小さく進められること」「あとに回せること」の3つに、実家で気になっていることを書き分けてみてください。