実家の荷物を片づけたいと思っても、いくらかかるか分からないと、どこまで業者へ頼むか決めにくいものです。遠方から通う場合は、家族の交通費や使える時間も気になります。
片づけ費用は、間取りだけでなく、家財の量・依頼する作業・運び出す条件によって変わります。 一軒家でも家具を数点だけ頼む場合と、押し入れや物置まで整理する場合では、必要な作業が違います。
この記事では、一般的な実家・空き家の家財整理を対象に、公開されている料金例、見積もりの内訳、追加料金の確認点を整理します。親が暮らしている家の一部を片づける場合にも使える内容です。親が亡くなった後の遺品整理については、一軒家の遺品整理はいくらかかる?費用の内訳と見積もりの確認点で、探す物や残す物の確認を含む費用の考え方を紹介しています。
見積書を見るときは、まず「どこまで頼む金額か」「何が別料金か」「変更時に誰が承諾するか」の3点を確認しましょう。本文の確認表は、そのまま読めるほか、記入用のExcelでも保存できます。
実家・空き家の片づけ費用は何で決まる?
片づけの見積もりは、処分する品物の値段だけを足したものではありません。分ける、包む、運び出す、運ぶ、適切に処理する、といった作業に費用がかかります。
| 費用を左右する条件 | 相談前に確認すること |
|---|---|
| 家財の量 | 部屋の広さに加え、棚・押し入れの中、納戸、物置に残る量 |
| 依頼範囲 | 仕分けから頼むか、分別済みの物の搬出だけか。残す部屋や家具はあるか |
| 人数・時間 | 大型品を運ぶ人数、仕分けにかかる時間、複数日に分ける必要 |
| 車両・運搬 | 車両の大きさ、台数、往復の回数、駐車できる場所 |
| 搬出条件 | 階数、階段や廊下の幅、エレベーターの利用条件、車両までの距離 |
| 品目・清掃 | 家電リサイクル対象品、重い物、家具の分解、清掃の範囲 |
同じ3LDKでも、室内に出ている家具だけを運ぶ家と、収納の中も一つずつ確認する家では、作業時間も搬出量も変わります。「3LDKです」と伝えるだけでなく、室内と収納の写真、残す物、頼みたい範囲を共有すると、見積もりの前提をそろえやすくなります。
片づけ費用の大まかな目安――公開料金例をどう読むか
少量・一部の片づけと家全体の整理を、同じ金額で考えることはできません。以下は、2026年9月23日に確認した事業者の公開料金例です。全国平均や、実際の平均支払額を示す表ではありません。
家財整理を扱う3事業者の公開例
| 公開元・地域など | 掲載されている金額の例 | 金額を読む際の条件 |
|---|---|---|
| カナケイ産業(JAかながわセレモニーセンター)の家財整理案内/神奈川県の地域JA葬祭窓口 | 1Rは作業費33,000円〜+撤去費16,500円〜。3LDK〜は作業費88,000円〜+撤去費187,000円〜(税込) | 作業費と撤去費が別欄。合計の下限は1Rで49,500円〜、3LDK〜で275,000円〜。資料では最低限の目安とされ、物量・状態で変動 |
| 株式会社5r/東海地域の事業者 | 通常プランの1K・1DK・1LDKは70,000円〜、3LDKは180,000円〜(税抜) | 想定物量と作業人数の条件がある。仕分け・梱包、交通・運搬、処理、簡易清掃等を含む案内。別の限定パックとは区別する |
| 家財整理のインパス/栃木県内 | 1K・1Rは38,500円〜、3LDKは190,000円〜 | 仕分け、回収、貴重品探索、整理後の清掃を含む案内。料金ページでは税込・税抜の明記を確認できず、税込総額は個別確認が必要 |
出典:カナケイ産業(JAかながわセレモニーセンター)「家財整理のご案内」4ページ、株式会社5r「料金案内」、インパス「基本料金のご案内」。地域・含まれる作業・税の表示が異なるため、この表で安い順を決めることはできません。
これらの表示からは、小規模な整理でも数万円単位、複数の部屋をまとめると十数万円〜数十万円単位の予算を検討する場面があると分かります。ただし、いずれも「〜」のある下限表示で、実家全体の支払額の上限ではありません。物量や搬出条件によって上回ります。
別の参考として、神戸市が公開する家財片付けの案内には、約100m²の二階建て一軒家で約30万〜40万円という目安が載っています。これも神戸市内向け資料の例で、全国共通の価格ではありません。家の大きさが近くても、同額になるとは限りません。神戸市「家財の片付けをお考えのみなさまへ」
一部だけを頼むなら、家全体の料金表から部屋数で割るのではなく、対象品目と作業を指定して確認します。現場へ行く費用や最低限必要な人員などがあるため、依頼量を半分にしても金額が半分になるとは限りません。
見積もりには何が含まれる?費用の内訳
見積書の項目名は事業者によって違います。「基本料金」「作業一式」に複数の作業が含まれる場合もあります。項目の数よりも、依頼した作業が総額に含まれているかを確かめてください。
| 費用項目 | 何にかかる費用か | 増減する条件・確認点 |
|---|---|---|
| 仕分け・分別 | 残す物、売る候補、処分する物などを分ける作業 | 家族による事前整理の範囲、収納内の確認、探してほしい物 |
| 梱包 | 袋・箱への収納、割れ物などを包む作業と資材 | 箱や袋が含まれるか、残す物の梱包も対象か |
| 人件費・作業費 | 作業員が仕分けや搬出などを行う費用 | 人数・時間・日数。ほかの作業項目と重複していないか |
| 搬出 | 室内から屋外や車両へ運び出す作業 | 階段、狭い通路、大型家具、車両までの距離 |
| 車両費・運搬費 | 車両の手配や、積んだ物を運ぶ費用 | 車種・台数・往復回数、駐車料金や有料道路代の扱い |
| 処分に関する費用 | 不要になった物を適切に処理するための費用 | 品目・量・処理方法。実際に収集運搬する事業者と支払先 |
| 清掃費 | 片づけ後の掃き掃除など | 簡易清掃の範囲。水回りや油汚れ等の清掃は別契約か |
| その他の作業 | 養生、家具の分解、庭・物置など | 基本料金に含まれる範囲と別途見積もりの範囲 |
たとえば、廊下や壁を保護する養生が基本料金に含まれる会社もあれば、現場の条件に合わせて見積もる会社もあります。「この項目は必ず追加」と決めつけず、今回の見積もりでの扱いを聞きましょう。
「清掃込み」の場合も、家財を出した後の掃き掃除と、浴室・台所まで洗浄するハウスクリーニングは分けて確認します。消臭や特殊清掃が必要な状態なら、通常の家財整理と区別した説明と見積もりを求めます。
費用が高くなりやすい条件と、追加料金の確認
見えない収納や屋外の荷物が多い
室内の写真だけでは、押し入れの奥や物置の荷物が伝わらないことがあります。屋根裏、納戸、庭の鉢、物置の中身など、依頼したい場所を先に一覧にしてください。物置は「中身の整理」と「物置本体の撤去」も別の作業です。
階段・大型品・遠い駐車位置がある
階段のある家、大きな家具を通しにくい廊下、車両を横付けできない立地では、搬出に人手や時間が必要になることがあります。階数だけでなく、家具の大きさと搬出経路も見てもらいます。エアコンの取り外しなど、設備に関わる作業の有無も伝えてください。
遠方対応や立ち会い条件が違う
鍵の受け渡し、作業前後の写真報告、残す物の配送などを希望するなら、対応できるかと費用を一緒に確認します。家族が何度も現地へ通う費用と比べる際にも、この条件が役立ちます。
当日に頼む量や作業を変える
見積もり後に別の部屋の整理を加える場合などは、金額が変わる可能性があります。逆に、自分たちで荷物を減らしても、自動で減額されるとは限りません。変更前に再見積もりの扱いを確認してください。
追加作業を提案されたら、作業を始める前に、理由・追加額・変更後の税込総額を確認する流れを決めておきます。現地にいる家族と費用を払う人が別なら、誰の承諾を得るかも共有します。
国民生活センターは、低額な定額パックの広告から申し込んだ後、人件費などを加算される相談例を紹介しています。広告の金額だけで判断せず、対象量、含まれる費用、追加条件を見積書やメールで残しましょう。不当な請求などで困った場合は、消費者ホットライン188へ相談できます。国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」
自分たちで行う部分と業者に頼む部分を分ける
費用を考えるときは、全部自力か全部外注かの二択にする必要はありません。家族が残す物を決め、無理なく扱える小物を整理して、大型品の搬出などを依頼する方法もあります。
親が存命なら、本人の意向を確かめながら進めます。判断がつかない物は保留にして、今回の処分対象から外すこともできます。費用を抑えるために、必要な物まで手放す必要はありません。
自分で行う・依頼する作業整理表
「自分たちで行う」「外部へ依頼する」「未定」の欄を使い、作業ごとに方針を決めてください。一つの作業を分担する場合は、備考へ境界を書きます。
| 作業内容 | 自分たちで行う | 外部へ依頼する | 未定 | 確認先 | 担当 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 残す物・保留する物の判断 | □ | □ | □ | 親本人・家族・所有者 | 処分の判断は本人等へ確認 | |
| 書類・写真・貴重品の確認 | □ | □ | □ | 親本人・家族 | 探してほしい物を共有 | |
| 衣類・食器など小物の仕分け | □ | □ | □ | 家族・依頼先 | 無理なく扱える量から | |
| 自治体で出せる物の確認・申込み | □ | □ | □ | 実家所在地の自治体 | 品目・量・予約・排出場所 | |
| 小物の袋詰め・梱包 | □ | □ | □ | 自治体・依頼先 | 分別や袋の指定を確認 | |
| 家具・家電の搬出 | □ | □ | □ | 搬出を依頼する事業者 | 重い物や階段作業は無理をしない | |
| 家庭ごみの収集運搬の手配 | □ | □ | □ | 自治体・許可業者等 | 実際の回収主体を確認 | |
| 家電リサイクル対象品の手配 | □ | □ | □ | 販売店・自治体の案内先 | メーカー・型番・台数 | |
| 庭・物置の整理 | □ | □ | □ | 家族・依頼先 | 中身と本体の撤去を区別 | |
| 片づけ後の清掃 | □ | □ | □ | 家族・依頼先 | 掃き掃除か水回りまでか | |
| 売る候補の査定・引渡し | □ | □ | □ | 所有者・買取店 | 売れない場合の扱いも確認 | |
| 鍵の受渡し・当日の連絡・完了確認 | □ | □ | □ | 家族・依頼先 | 変更を承諾する人も決める |
自分たちで行う場合にも、交通費、宿泊費、袋や箱、自治体の処理手数料などはかかります。家族が使える日数も含めて、無理なく続けられる分担を考えましょう。重い家具を少人数で階段から下ろしたり、不慣れな設備の取り外しをしたりする節約は勧めません。
仕分けの進め方は実家の片づけは何から?残す・売る・処分するものを整理する手順で確認できます。依頼できる作業や相談先は実家の片づけを業者に頼むには?にまとめています。
買取額と片づけ料金は別々に確認する
売れる物があれば、結果的な負担が軽くなる場合はあります。ただし、査定前の金額を片づけ予算から差し引かないでください。
同じ会社に頼む場合も、「片づけの税込料金」「買取品目と確定した買取額」「相殺する場合の支払額」を分けて書いてもらいます。売れなかった物の処分を頼むなら、その費用も別に確認します。買取を理由に必ず無料になるわけではありません。
家財を売る際の確認点は、遺品整理で買取を利用するには?売りたいものの確認と依頼先の選び方を参照してください。
見積もりで確認したい項目
見積書を受け取ったら、総額とともに、対象の部屋・品目・作業範囲を確認します。複数の見積もりを比べる場合は、残す物、清掃範囲、家電の台数などを同じ条件で伝えてください。
片づけ見積もり確認表
| 作業項目 | 見積もりで確認する内容 |
|---|---|
| 仕分け・分別 | 収納内も対象か。残す物・保留品・探索品を伝えたか |
| 梱包・資材 | 袋・段ボール・梱包作業が含まれるか |
| 搬出 | 室内から車両までか。大型家具の搬出方法は確認済みか |
| 作業員・作業時間 | 予定人数・時間・日数と、延長時の扱い |
| 車両 | 車種・台数・積載量の考え方。積み切れない場合の扱い |
| 運搬・交通 | 往復、出張、有料道路、駐車料金の含まれ方 |
| 処分 | 品目と量、処理方法、実際に収集運搬する事業者、支払先 |
| 階段作業 | 対象階数とエレベーターの有無が反映されているか |
| 養生 | 壁・床・共用部分の保護が含まれるか |
| 清掃 | 簡易清掃の内容。水回り等の清掃は別料金か |
| 家電リサイクル対象品 | メーカー・区分・台数。リサイクル料金と収集運搬料金の内訳 |
| 庭・物置 | 屋外の対象範囲。物置の中身と本体撤去を区別しているか |
| 家具の分解・設備の取り外し | 対象品と作業内容。別の専門作業が必要か |
| その他追加作業 | 追加になる具体的条件、単価等の決め方、作業前の承諾方法 |
| 税込総額・支払条件 | 別払いの費用がないか。支払時期・方法、見積有効期限 |
| キャンセル・日程変更 | いつから、何に対して、いくらかかるか |
| 買取・値引き | 片づけ料金と分けた明細。査定未確定の金額が含まれていないか |
Excelの見積もり確認表には、各項目について「見積もりに含まれるか」「金額」「追加料金が発生する条件」「確認した担当者」「備考」を記入できます。上の確認点も載せています。
「一式」と書かれた見積書も、含まれる作業と除外項目が説明されれば確認できます。一式の金額と参考内訳を両方足してしまわないよう、Excelには自動合計を設けていません。税込総額は、依頼先が提示した金額を転記してください。分からない項目を0円とせず、「要確認」として残します。
同じブックに、前の章の「自分で行う・依頼する作業整理表」も収録しています。会社ごとにファイルを分けて保存すると、条件を並べて確認しやすくなります。
Excel形式(.xlsx)、2シート。金額・担当者の記入欄は空欄です。
家電や粗大ごみは、処分方法によって費用が違う
自治体の粗大ごみ等で出せる物を確認する
不要な家具や小物は、実家所在地の自治体が案内する方法で出せる場合があります。品目別の手数料、予約、指定場所まで運ぶ必要があるかを確認してください。一度に大量に出す場合は、通常の収集とは別の相談が必要になることもあります。
自治体の手数料と、室内での仕分けや搬出を含む業者の料金は、作業範囲が違います。金額だけで比較せず、家族が担当する作業も合わせて考えましょう。運び出せない場合の支援の有無や条件も、自治体へ確認できます。
家庭ごみを回収する事業者を確かめる
家庭から出るごみを業として収集・運搬する場合は、原則として、その地域の市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可や、市区町村からの委託等が必要です。産業廃棄物の許可や古物商の許可だけで、一般家庭のごみを自由に回収できるわけではありません。環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」
仕分けを担当する会社と、実際に家庭ごみを収集運搬する会社が異なる場合もあります。見積もりでは、回収する事業者名、自治体のルールに沿う処理方法、処理費を誰へ支払うかを確認してください。不明なら、実家所在地の自治体へ問い合わせます。
家電リサイクル対象品は料金を分ける
家電リサイクル法の対象は、家庭用のエアコン、テレビ(ブラウン管・液晶・有機EL・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機です。通常の粗大ごみと同じ扱いにせず、買替え先や購入した販売店などへ相談します。購入店が分からない場合などは、自治体の案内を確認してください。経済産業省「家電リサイクル制度FAQ」
処分には、メーカーのリサイクル料金と、販売店等の収集運搬料金がかかります。メーカー、製品の区分、依頼先などによって異なるため、全国一律の金額ではありません。見積もりにはメーカー・型番・容量や画面サイズ・台数を伝え、取り外しや室内からの搬出が含まれるかも確認しましょう。
指定引取場所へ自分で持ち込む方法もありますが、大型家電の運搬を無理に行う必要はありません。依頼して運ぶ費用と、自分たちで安全に対応できる範囲を比べてください。料金の考え方は経済産業省のFAQ「収集運搬料金・リサイクル料金」で確認できます。
見積もりを取る前に整理しておくこと
見積もり前に家全体を片づけ終える必要はありません。まず次の情報をそろえると、相談のたびに説明をやり直す負担を減らせます。
- 実家の所在地、建物の種類、間取り、階数。
- 部屋・収納・庭・物置の写真と、対象にする場所。
- 残す物、保留する物、売る候補、処分を決めた物。
- 大型家具と家電の種類・大きさ・台数。
- 階段、廊下、エレベーター、車両を停められる位置。
- 家族が行う作業と、依頼したい作業。清掃の範囲。
- 希望時期、立ち会いの可否、費用を確認・承諾する人。
写真を送る際は、室内全体や収納の量が分かるように撮り、個人情報の書かれた書類などが写り込まないようにします。写真だけでは確認できない部分がある場合は、現地確認が必要かを聞きましょう。
家族の費用分担が未定なら、契約前に「誰が窓口になるか」「誰がいくらまで承諾できるか」「立替分をどう精算するか」も決めておきます。
家を売る予定がある場合の片づけ範囲や時期は、実家を売る前の片づけはどこまで必要?で整理しています。家の保有・修繕・売却等を含む予算は、実家じまいの費用は何にかかる?を併せて確認してください。
片づけ費用は、必要な作業と総額をセットで確認する
実家・空き家の片づけ費用を考える出発点は、家の間取りだけで金額を決めることではなく、物量と作業範囲を整理することです。
残す物や保留する物を確認し、自分たちが無理なくできる作業を分けてから相談しましょう。見積書では、仕分け・搬出・運搬・処分・清掃の範囲、税込総額、追加料金の条件を確かめます。
まずは作業整理表の「未定」を埋め、次に見積もり確認表で分からない項目を質問する。その順番で進めると、費用と家族の負担を合わせて判断しやすくなります。