田舎の実家が売れないときは?状況を整理して相談先を考える

田舎の実家が売れないときは?状況を整理して相談先を考える

田舎の実家を売りに出しているのに問い合わせが少ない、内覧はあっても申込みにつながらない、そもそも何を見直せばよいのか分からない。そんな状態が続くと、「田舎だから、この家はもう売れないのでは」と考えてしまいがちです。

ただ、「売れない」という一言の中には、いくつもの違う状態があります。まだ売り出し前なのか、問い合わせが少ないのか、内覧後に止まっているのか、価格や引渡し条件の調整で止まっているのか。原因を決めつける前に、まず現在地を分けて確認することが大切です。

この記事では、田舎の実家の売却が進まないときに、不動産会社へ何を聞くか、家や土地について何を整理するか、仲介以外にどんな相談先があるか、売れるまでの管理をどうするかを順番に整理します。

まず「売れない」の中身を整理する

最初に確認したいのは、「どの段階で止まっているか」です。同じ「売れない」でも、まだ売り出していない状態と、内覧まで進んでいる状態では、次に確認する内容が変わります。

現在の状態 確認したいこと 主な確認先
査定・相談はしたが、まだ売り出していない 媒介契約の有無、売出し開始時期、準備中の確認事項 相談中の不動産会社
売り出したが問い合わせが少ない 掲載状況、問い合わせ件数、買主側から出た反応 依頼している不動産会社
問い合わせはあるが内覧につながらない 日程調整、現地確認のしやすさ、物件情報で不足している点 依頼している不動産会社
内覧はあるが申込みがない 内覧後の反応、価格以外の懸念、建物や家財の状態 依頼している不動産会社
申込みはあるが条件が合わない 価格、引渡し時期、家財、設備、補修などの条件 不動産会社・家族
確認事項が残っている 名義、共有、境界、接道、建物状態など 不動産会社・必要に応じ専門家
長期化している 販売方針の見直し時期、管理方法、相談先の追加 不動産会社・自治体等

「田舎だから売れない」と一括りにするより、「今どこで止まっているか」を具体的にした方が、次に聞くことが見えてきます。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、不動産の取引価格や成約価格、地価、防災・都市計画などの情報を確認できます。ただし、取引価格は面積、形状、前面道路、取引事情などによって変わります。近隣の数字を見つけても、そのまま自宅の売却価格になるわけではありません。価格を考える材料の一つとして使い、実際の販売状況と合わせて不動産会社に確認するのが現実的です。

依頼している不動産会社に確認したいこと

売却を依頼している不動産会社があるなら、まず現在の販売活動を言葉にして確認します。単に「反応はありませんか」と聞くだけではなく、項目を分けて聞くと状況を把握しやすくなります。

確認したいのは、たとえば次のような内容です。

  • 現在どのような方法で売却活動をしているか
  • これまで問い合わせは何件程度あったか
  • 内覧希望はあったか
  • 問い合わせや内覧の際、どのような反応があったか
  • 価格以外に検討できる条件はあるか
  • 追加で準備した方がよい資料や情報はあるか
  • 家財や建物状態について確認が必要なことはあるか
  • 今後、いつ販売方針を見直す予定か
  • 現在の媒介契約の種類と期間はどうなっているか

国土交通省の標準媒介契約約款では、専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、業務の処理状況を報告する仕組みが示されています。一般媒介契約は同じ法定の報告義務ではないため、自分の契約がどの種類かを確認したうえで、どのように活動状況を共有してもらえるかを聞いておくとよいでしょう。

また、媒介価額について不動産会社が意見を述べる場合、標準媒介契約約款では根拠を示して説明することが定められています。「下げた方がいい」「この価格では難しい」と言われたときは、問い合わせの反応、近隣の成約事例、物件条件など、判断材料を具体的に確認します。

価格だけでなく売却条件全体を見る

売れない期間が続くと、すぐに「値下げ」が話題になりやすいですが、確認するのは価格だけではありません。

確認項目 見直すときのポイント
売出価格 問い合わせ・内覧の反応と、価格の根拠を確認する
引渡し時期 買主の希望と調整できる余地があるか
家財 残すもの・撤去するもの・引渡しまでに片づけるもの
設備 使用できるもの、故障しているもの、確認が必要なもの
建物状態 雨漏り、傷み、長期間不使用の設備など確認事項を整理
現地確認 内覧や調査の日程を組みやすいか、鍵の管理はどうするか
土地・境界 資料の有無、追加確認が必要か
条件交渉 何を譲れるか、何は譲れないかを家族で整理する

大切なのは、「値段を下げれば解決する」と決めないことです。問い合わせがほとんどないのか、内覧後に断られているのか、条件交渉で止まっているのかによって、見直すポイントは違います。

家財が多く残っている場合も、全部処分してからでなければ相談できないとは限りません。売却前の片づけをどこまで進めるかは、査定・内覧・引渡しの段階によって考え方が変わります。詳しくは「実家を売る前の片づけはどこまで必要?査定・売却の相談前に確認したいこと」で整理しています。

家や土地について確認事項が残っていないか

田舎の実家では、建物そのものだけでなく、土地や権利関係の確認が必要になることがあります。ただし、「これがあると売れない」と断定するものではありません。売却を進めるうえで、確認を求められる可能性がある項目として整理します。

  • 所有者や共有者は誰か
  • 土地と建物の名義はどうなっているか
  • 相続に関する確認が残っていないか
  • 境界に関する資料や経緯があるか
  • 前面道路や接道について確認が必要か
  • 増改築や未登記部分など確認事項がないか
  • 上下水道など生活インフラの状況はどうか
  • 建物の傷みや雨漏りなど、現状を把握できているか
  • 家財や残置物をどうする予定か
  • 現地確認や内覧に対応できる人、鍵を持つ人は誰か

これらは自己判断で「問題なし」と決めるより、まず不動産会社に確認し、必要に応じて司法書士、土地家屋調査士、建築士など適切な専門家へつないでもらう方が安全です。

親が存命で親名義の実家を扱う場合は、家族だけで売却方針を決めず、本人の意向も確認します。家族の負担が大きくても、所有者や手続きを進める権限の確認を飛ばして進めないことが大切です。

仲介以外の相談方法もある

今の不動産会社で売却が進まないときも、選択肢は「そのまま続ける」か「すぐ買取へ変える」の二択ではありません。状況に応じて相談先を増やす方法があります。

相談先・方法 どんな相談ができるか 確認したいこと・注意点
現在の不動産会社 販売状況、反応、条件、今後の方針 媒介契約の種類、報告内容、見直し時期
別の不動産会社 別の査定や販売方法の意見 現在の媒介契約で他社へ相談できるか確認
不動産会社による買取 会社自身が買主になる可能性の相談 対象地域、物件条件、価格、買取可否は会社ごとに異なる
自治体の空き家相談 地域の制度、相談窓口、空き家バンク等 自治体ごとに支援内容が違う
空き家バンク 自治体等を通じた物件情報の公開・マッチング 登録条件、対象地域、契約への自治体の関与範囲を確認

不動産会社による買取は、仲介とは取引の形が違います。不動産会社などが買主となるため、仲介で一般の購入希望者を探すのとは別の方法です。ただし、どの家でも買い取ってもらえるわけではなく、買取価格や対象地域、家財が残った状態で相談できるかなども会社によって異なります。

また、「買取なら必ず早く現金化できる」と考えるのも避けたいところです。売却を急ぐ事情があるなら、希望時期を伝えたうえで、仲介を続ける場合と買取を検討する場合の条件を並べて確認します。

相談先全体を整理したい場合は、「実家じまいはどこに相談する?片づけ・買取・家の扱い別の相談先」も参考になります。

空き家バンクは「登録すれば売れる制度」ではない

田舎の家の売却でよく名前が挙がるのが空き家バンクです。国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」は、自治体が把握・提供している空き家等の情報を、自治体を横断して検索できる仕組みです。

ただし、実際の登録条件や運用は自治体ごとに違います。

たとえば福岡市の空き家バンクでは、登録できる建物・空き地の要件が定められ、媒介事業者を通じて売買・賃貸の交渉や契約を進める仕組みになっています。北九州市では、空き家バンクへ登録しても市が買い取りや借り受けをするわけではなく、売買・賃貸借の交渉や契約にも市は関与しないと案内しています。

つまり、空き家バンクは「自治体が買ってくれる制度」でも「登録すれば成約が保証される制度」でもありません。実家の所在地の自治体で、

  • 空き家バンクがあるか
  • 売却希望物件が対象になるか
  • すでに媒介契約を結んでいる場合でも登録できるか
  • 登録に必要な書類は何か
  • 契約は誰が仲介するのか
  • 登録後の情報掲載期間や更新方法

を確認します。

売却が長期化する間の管理も決めておく

売却を続ける間、家が空き家のままなら、「売れるかどうか」だけでなく「売れるまでどう管理するか」も決めておく必要があります。

空き家を売却中でも、所有している間の管理は続きます。国土交通省は、空家等対策の制度情報に加えて、自治体の空き家対策や空家等管理活用支援法人などの仕組みを案内しています。自分や家族だけで対応しにくい場合は、実家所在地の自治体に管理の相談先があるか確認する方法もあります。

管理の項目は、実家の状態によって変わりますが、たとえば次を確認します。

  • 定期的に現地へ行く人
  • 鍵の保管者
  • 室内の通風や状態確認
  • 雨漏り、破損、設備の異常
  • 庭木、雑草、落ち葉
  • 郵便物
  • 防犯
  • 台風・大雨・積雪後の確認
  • 近隣から連絡があったときの窓口
  • 遠方で通いにくい場合の管理委託

売却が長引いているからといって、管理を後回しにすると、家族の負担が急に大きくなることがあります。遠方から通っている場合は、「誰が・どの頻度で・何を見るか」を決め、難しい部分だけ外部へ頼む方法もあります。

売却以外の選択肢も含めて家の今後を見直したいときは、「実家が空き家になったらどうする?残す・管理する・手放す選択肢」で全体を整理できます。

実家の売却状況を一度、表にして整理する

話を聞くだけでは情報がばらばらになりやすいため、売却活動と相談先を表にしておくと、次の行動を決めやすくなります。

売却活動の確認

確認項目 現在の状況 確認先 次にすること
売却依頼開始時期 不動産会社
現在の売出価格 不動産会社
問い合わせ 不動産会社
内覧 不動産会社
申込み 不動産会社
購入希望者からの反応 不動産会社
広告・販売状況 不動産会社
今後の販売方針 不動産会社・家族
価格以外の条件 不動産会社・家族
家財 家族・不動産会社
建物状態 不動産会社等
土地・権利等の確認事項 不動産会社・必要に応じ専門家

相談先と管理

項目 必要/不要/未定 相談・確認先 次にすること
現在の不動産会社への再確認 不動産会社
別の不動産会社への相談 不動産会社
買取の相談 買取を行う不動産会社
自治体の空き家相談 市区町村
空き家バンク 市区町村
家財・片づけ 家族・不動産会社
管理方法 家族・管理事業者等
現地確認 家族・管理担当者
草木・郵便物・防犯 家族・管理担当者
専門家への確認が必要な事項 不動産会社から適切な専門家へ

Excel版では、確認日、回答・メモ、担当、期限まで記入できるようにしています。不動産会社や家族との話し合いの前に、分かるところだけ埋めて使ってください。

相談前に「いつまでに・何を優先するか」も家族でそろえる

売却条件を見直すときは、価格だけでなく、家族が何を優先したいのかも確認しておくと話が進みやすくなります。

たとえば、「できるだけ高く売りたい」と「遠方からの管理を早く減らしたい」では、不動産会社へ相談するときの重点が変わります。親本人が存命なら、本人の希望も別に確認し、子ども側の負担だけで結論を出さないようにします。

家族で確認したいこと 不動産会社などへ伝える内容
売却を急ぐ事情があるか 希望時期と、その理由
価格と時期のどちらを優先するか 価格変更を検討する条件・時期
家財をどこまで残したいか 引渡しまでに必要な片づけ範囲
遠方管理をいつまで続けられるか 内覧対応・鍵管理・現地確認の方法
修繕や解体を検討するか 先に費用をかける必要があるのか、売却条件と合わせて相談
売却以外の選択肢も残すか 管理・活用を含めて再検討する時期

ここで大切なのは、家族だけで「○月までに売れなければ大幅値下げ」「売れなければ解体」と決め切らないことです。まず現在の販売反応と必要な確認事項を集め、その情報をもとに相談します。

別の不動産会社に意見を聞きたい場合も、現在の媒介契約の種類と期間を先に確認します。専任媒介・専属専任媒介では、契約期間中に他の宅地建物取引業者へ重ねて媒介を依頼できない内容が標準約款に定められています。単に「他社にも同時に売ってもらおう」と動くのではなく、今の契約で可能な相談範囲を確認してから進めましょう。

まとめ|「売れない」と決める前に、止まっている場所を確認する

田舎の実家の売却が進まないときは、まず「売れない理由」を一つに決めないことが大切です。

  1. 今どの段階で止まっているか確認する
  2. 依頼している不動産会社に、販売活動と反応を聞く
  3. 価格だけでなく、引渡し時期・家財・建物状態などの条件も整理する
  4. 必要なら別の不動産会社、買取、自治体、空き家バンクなど相談先を増やす
  5. 売却が長引く間の管理方法も決める

問い合わせが少ないのか、内覧後に止まっているのか、条件交渉で止まっているのかで、次に確認することは変わります。

「田舎だから売れない」と決めつけず、現在地を一つずつ確認して、次に誰へ何を聞くかを決めていきましょう。

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