実家じまいでやってはいけないことは?失敗を防ぐ7つの確認ポイント

実家じまいでやってはいけないことは?失敗を防ぐ7つの確認ポイント

実家じまいを始めると、「早く片づけたほうがいいのでは」「空き家のままにしておいて大丈夫だろうか」と気になることがあります。

一方で、あとから困るのが心配で、なかなか手をつけられない人もいるでしょう。

実家じまいそのものを急いではいけないわけではありません。

注意したいのは、確認が必要なことを残したまま、取り返しにくい処分や契約まで進めてしまうことです。

親が存命なら、まず本人の意向を確認したい場面があります。親が亡くなったあとなら、相続人や名義、手続きの期限など別の確認も必要になります。

この記事では、実家じまいで失敗やトラブルを避けるために、行動を起こす前に確認したい7つのポイントを整理します。

実家じまいは、処分・契約の前に確認する

すべてを調べ終えるまで、片づけを始めてはいけないわけではありません。

まず確認したいのは、次の3つです。

  • 誰に確認するのか
  • どこまで確認してから進めるのか
  • 期限があるのか

たとえば、明らかなゴミをまとめる作業と、家財を一括処分する契約では、あとから戻せる範囲が違います。

今から進めようとしていることについて、該当する項目だけ確認してみてください。

進めようとしていること 先に確認すること 主な確認先
家財の処分・売却 本人や家族の意向、判断できる人 親・家族・関係者
一括処分・遺品整理 残す物、保留する物、発見時の連絡方法 家族・依頼する事業者
片づけ・回収の依頼 作業範囲、総額、追加料金、解約条件 依頼する事業者・自治体
家の解体 家を今後どうするか、税・補助制度への影響 家族・自治体・不動産会社等
保険・ライフラインの解約 今後の使用状況、見回りや清掃予定 契約先
相続後の手続き 名義と手続きごとの期限 法務局・家庭裁判所・専門家等
方針を保留する 誰が管理するか、次に確認する日 家族・自治体・管理の相談先等

全部の項目を一度に片づける必要はありません。

「いま何をしようとしているのか」を基準に、必要な確認から進めるのがポイントです。

実家じまいの失敗を防ぐ7つの確認ポイント

1.親や関係者に確認せず、処分や売却を進める

親が存命なら、子どもから見れば不要に思える物でも、本人にとっては残しておきたい物かもしれません。

家そのものについても、「もう住まないだろう」と家族だけで売却や処分を決められるとは限りません。

まず、本人がどうしたいのかを確認しましょう。

親が亡くなったあとは、今度は相続人や不動産の名義などを確認する必要があります。「家族の連絡役になっている人」と「処分や売却を判断できる人」が同じとは限りません。

連絡して返事がなかったことを、そのまま同意として扱わないことも大切です。

親が存命で、物が多く話し合いが進まない場合は、「実家に物が多いときは?親と相談しながら片づけを進める方法」で、話し合いの進め方を詳しく確認できます。

2.残す物・確認待ちの物を分けず、一括処分を頼む

家財を一気に減らせれば、実家じまいは大きく進みます。

ただし、搬出されたあとでは取り戻せない物もあります。

業者へ依頼する前に、次のように分けておきましょう。

  • 絶対に残す物
  • 家族への確認が済んでいない物
  • 見つかったら連絡してほしい物

通帳や契約関係の書類、写真などの思い出の品も、確認対象になることがあります。

国民生活センターも、遺品整理では残しておきたい物と処分する物を事前に分け、事業者と十分に打ち合わせるよう注意を呼びかけています。

参考:国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」

親が亡くなったあとで、何を処分してよいか迷っている場合は、遺品整理で捨ててはいけないものについての記事も確認してください。

なお、相続放棄を検討しているなど、財産の処分が法的な判断に関係しそうな場合は、自分だけで判断せず、売却・処分の前に専門家へ確認したほうが安全です。

3.表示価格だけで依頼を決め、作業範囲や追加料金を確かめない

片づけや不用品回収では、「○万円から」「定額パック」などの価格だけを見て決めたくなることがあります。

しかし、確認したいのは表示価格だけではありません。

  • 何をどこまで作業するのか
  • 見積総額はいくらか
  • 追加料金が発生するのはどんな場合か
  • 追加作業の前に連絡があるか
  • キャンセル・解約時の条件
  • 家庭から出る廃棄物を誰が回収・処理するのか

まで確認しておきます。

国民生活センターには、広告で見た金額と実際の請求額が大きく異なる不用品回収の相談も寄せられています。また、家庭から出る廃棄物の収集・運搬には、市区町村からの委託や一般廃棄物処理業の許可が関係します。

参考:国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」

可能であれば複数の見積もりを比べたいところですが、一社しか候補がないこと自体を「失敗」と考える必要はありません。

大切なのは、頼む内容と金額を理解したうえで契約することです。

一般的な実家の片づけ依頼は「実家の片づけを業者に頼むには?」、親の他界後に遺品整理を依頼する場合は「遺品整理業者はどう選ぶ?」で詳しく整理しています。

4.家の扱いを決める前に、全処分や解体を契約する

「どうせ売るなら、先に中を空にしよう」
「古い家だから、先に解体してしまおう」

と考えることもあります。

しかし、家財をどこまで片づける必要があるかは、その後の家の扱いによって変わります。

売却する場合でも、査定前にすべてを処分しなければならないとは限りません。まず不動産会社などへ相談してから、必要な片づけ範囲を決める方法もあります。

解体についても、一律に「してはいけない」という話ではありません。

ただし、建物を取り壊すと土地にかかる税の扱いが変わる場合があります。また、自治体の解体・除却補助制度には、工事契約前の申請や交付決定を条件としているものもあります。

たとえば横浜市では、住宅を取り壊して住宅用地でなくなったことで住宅用地の特例を受けられなくなる例を案内しています。解体に関する補助制度についても、契約や着工前の手続きを条件とするものがあります。

制度や税の扱いは地域・建物・時期などで異なるため、自宅の条件は所在地の自治体等へ確認してください。

参考:横浜市「住宅を取り壊して駐車場にした場合の固定資産税は…」

売却を考えている場合は「実家を売る前の片づけはどこまで必要?」、残す・管理する・手放すところから迷っている場合は「実家が空き家になったらどうする?」が参考になります。

なお、倒壊など周囲への危険がある場合は、通常の実家じまいとは分けて自治体等へ早めに相談してください。

5.費用を減らそうと、保険や電気・ガス・水道を一括で解約する

誰も住んでいない家に毎月費用がかかっていると、「全部止めてしまおう」と考えるかもしれません。

ただ、解約前に今後の使い方を整理しておきましょう。

たとえば、次のような点です。

  • 片づけや清掃で家に通うのか
  • 売却や工事の予定があるのか
  • 定期的に見回るのか
  • 現在どの契約が残っているのか

「空き家なら必ず止める」「売却予定なら必ず残す」という共通の答えがあるわけではありません。

契約先へ現在の状況を伝え、停止・継続した場合の扱いを確認してから決めるほうが確実です。

火災保険などは空き家になった実家の火災保険についての記事、電気・ガス・水道については空き家のライフラインについての記事で詳しく確認できます。

6.片づけが終わるまで、名義や手続きの期限確認を後回しにする

ここは、主に親が亡くなったあとの実家じまいに関係する項目です。

荷物が大量に残っていると、どうしても片づけを優先したくなります。

しかし、家をどうするか決まっていなくても、期限のある手続きの確認まで後回しにしてよいとは限りません。

特に注意したいのが、「相続関係の手続きは全部同じ期限」と考えないことです。

たとえば、相続放棄の申述は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内です。一定の場合には家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられる制度もあります。

参考:裁判所「相続の放棄の申述」

一方、相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請することが原則です。2024年4月1日より前に発生した相続にも経過措置があります。

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」

「まだ売るか決めていないから」と家の処分を保留することと、期限の確認まで保留することは別です。

相続登記については実家の相続登記についての記事で詳しく整理しています。個別の法的判断が必要な場合は、司法書士や弁護士など専門家への相談も検討してください。

7.家の方針を保留したまま、管理する人や次の確認日を決めない

すぐに実家を売る必要はありません。

家族で話がまとまらなければ、いったん保留する選択もあります。

ただし、「しばらく考えよう」で終わると、そのまま時間だけが過ぎることがあります。

方針を保留するなら、次のことだけでも決めておきましょう。

  • 誰が家族への連絡役になるか
  • 誰が実家の状態を確認するか
  • 次にいつ話し合うか
  • 次は誰に相談するか

最終的な答えを出すのではなく、次に確認する日を決めるのがポイントです。

空き家を家族で管理するときの具体的な内容は空き家になった実家の管理についての記事、片づけや連絡が一人に偏って負担になっている場合は「実家の片づけに疲れたら?」で詳しく扱っています。

管理会社へ委託したり家を売却したりすることだけが解決策ではありません。家族の状況に合わせて、続けられる方法を選びましょう。

迷ったら、確認が必要な行動だけ保留する

「こんなに確認することがあるなら、何もできない」と考える必要はありません。

止めるのは、家全体の片づけではなく、まだ確認できていないことに関係する行動だけです。

親が存命なら、まず本人に確認する。

親が亡くなったあとで権利関係が分からなければ、相続人や名義を確認する。

業者との契約内容が分からなければ、見積書や契約書を手元に置いて事業者へ確認する。

すでに契約したあとに疑問が出てきた場合も、自己判断で一方的に契約を中止したり支払いを拒んだりするのではなく、まず契約内容を確認してください。事業者とのトラブルになっている場合は、消費生活センターなどへ相談する方法もあります。

何をどこへ相談すればよいか分からない場合は、「実家じまいはどこに相談する?」から確認できます。

次にすることは、進める前の確認を一つ決める

実家じまいで、すべての問題を今日解決する必要はありません。

この記事を読んだあとに決めたいのは、次の3つです。

「次に何を進めようとしているか」
「その前に、誰へ何を確認するか」
「いつ確認するか」

たとえば、

「家財の一括処分を頼む前に、今週中に兄弟へ残したい物を確認する」

これだけでも構いません。

確認が終わったものは進める。まだ確認できていない部分だけ保留する。

その繰り返しで、取り返しにくい処分や契約を避けながら実家じまいを進められます。

全体をどこから始めればよいか分からなくなった場合は、「実家じまいは何から始める?家族で確認したいことと進め方」に戻って、現在地から整理してみてください。

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