実家じまいを進めていると、「親戚にはどこまで知らせる?」「近所にも挨拶したほうがいい?」「手土産は必要?」と迷うことがあります。
ただ、実家じまいをするからといって、親戚や近所の人全員へ挨拶しなければならないわけではありません。
まず考えたいのは、誰に挨拶するのがマナーかではなく、
- 誰に知らせる必要があるか
- 今の時点で何が決まっているか
- 相手に影響することがあるか
という3点です。
たとえば、実家が空き家になる場合と、売却や解体が決まり業者の出入りが始まる場合とでは、近所へ伝えておきたい内容も変わります。
親戚についても、家の今後を知らせるだけの相手と、家や荷物について確認しておきたい相手では伝え方が違います。
まだ実家をどうするか決まっていないなら、「現在整理中です」「今後のことはまだ決まっていません」と伝えて構いません。
この記事では、実家じまいの挨拶について、親戚・近所への伝え方、タイミング、挨拶文の例、手土産やのしの考え方まで順番に整理します。
実家じまいの挨拶は「誰に知らせる必要があるか」から考える
実家じまいの挨拶を考えるとき、最初から「親戚全員」「近所一帯」と範囲を広げる必要はありません。
まずは、知らせる可能性のある相手を分けてみます。
- 親戚
- 実家の近所の人
- 自治会・町内会など、これまで関わりがあった人
- 親が特にお世話になっていた人
この中から、実際に連絡する必要がある人を考えます。
たとえば、ほとんど交流のない遠い親戚まで一律に挨拶状を送る必要はないでしょう。
近所についても同じです。
片づけや工事で影響を受けそうな家、長年付き合いのあった家、実家が空き家になったあと何かあったときに連絡を取り合う可能性がある人など、実際の関係を基準に考えます。
親が存命の場合は、本人の意向も確認したいところです。
子どもから見れば近所付き合いが少ないように見えても、親にとっては長年の付き合いがある人かもしれません。
反対に、親が知らせたくない事情まで子どもの判断で伝える必要もありません。
実家じまいそのものを何から始めるか迷っている場合は、先に実家じまいは何から始める?家族で確認したいことと進め方で全体の流れを整理しておくと、誰に何を伝える必要があるかも考えやすくなります。
親戚への挨拶は、家の今後と必要な連絡事項を中心にする
親戚へ連絡するときも、家族の事情をすべて説明する必要はありません。
今の段階で伝える必要があることを中心にします。
たとえば、
- 実家の片づけを始めたこと
- 今後、家をどうするか検討していること
- 売却や管理などの方針が決まったこと
- 親や家族の連絡先が変わること
- 親族に関係する物を確認したいこと
などです。
特に、親族の写真や思い出の品、代々保管してきた物などが実家に残っている場合は、処分する前に確認しておいたほうがよいこともあります。
一方で、
- 親がなぜ施設へ入ったのか
- どのような病気なのか
- 家はいくらで売るのか
- 兄弟の間でどのような話し合いをしているのか
といった内容まで、挨拶のために説明する必要はありません。
まだ家を残すか売るか決まっていなければ、それもそのまま伝えれば十分です。
「実家の整理を始めていますが、家を今後どうするかはまだ決まっていません」
という伝え方でも問題ありません。
また、親が亡くなったあとの実家で、不動産の相続や遺産分割などが関係している場合は、親戚への挨拶とは別に、誰がどのような権利を持っているか確認しなければならないことがあります。
単なる「実家じまいの挨拶」と、相続や所有関係について必要な話し合いは分けて考えましょう。
近所への挨拶は「今後その家がどうなるか」で必要性を考える
近所への挨拶は、実家でこれから何が起きるかを基準に考えると整理しやすくなります。
たとえば、
- 片づけのため人や車の出入りが増える
- 家から大量の荷物を搬出する
- 実家が空き家になる
- 売却に伴い人の出入りが増える
- 解体や工事を予定している
- 長年付き合いがあった
- 親が日頃からお世話になっていた
といった場合です。
特に、片づけ業者の車が長時間停まる、搬出作業が続くなど、近所へ直接影響する可能性がある場合は、事前に一言伝えておくことで相手も状況を理解しやすくなります。
実家を空き家として残す場合には、必要に応じて近所や自治会などへ管理者の連絡先を伝えておく方法もあります。
何か異変があったときに連絡を受けられるためです。
ただし、実家を空き家にするからといって、近所全員へ家族の事情を説明する必要はありません。
「今後しばらく空き家になります」
「定期的に家族が管理に来ます」
「何かありましたらこちらへご連絡ください」
といった必要最低限の内容でも十分です。
空き家になった実家を残すか、管理するか、手放すか自体がまだ決まっていない場合は、実家が空き家になったらどうする?残す・管理する・手放す選択肢で選択肢を整理できます。
挨拶するタイミングは、一度とは限らない
実家じまいには、いくつかの段階があります。
- 片づけを始める
- 親が退去して空き家になる
- 家を売ることが決まる
- 解体や工事が決まる
- 家の引渡しが決まる
だからといって、そのたびに毎回挨拶する必要があるわけではありません。
基準にしたいのは、「相手に影響が出るタイミング」または「伝えておいたほうがよいことが決まったタイミング」です。
たとえば、週末に家族だけで少しずつ片づけている段階なら、すぐに近所を回る必要はないかもしれません。
一方、大きなトラックを使って家財を搬出することになれば、作業前に近隣へ伝えておいたほうがよい場合があります。
また、まだ売るか残すか決まっていない段階で、「この家は売却します」と断定してしまう必要もありません。
その場合は、「現在、家の中を整理しています。今後についてはまだ決まっていません」と伝えれば十分です。
その後、本当に売却や解体が決まり、近所へ影響することが出てきた時点で、必要なら改めて知らせます。
実家を売る予定があり、片づけの範囲そのものに迷っている場合は、実家を売る前の片づけはどこまで必要?査定・売却の相談前に確認したいことも参考にしてください。
口頭・電話・手紙・メッセージは、相手に合わせて選ぶ
実家じまいの挨拶は、必ず挨拶状を郵送しなければならないものではありません。
相手との関係や伝える内容によって方法を選びます。
たとえば、
- 近所で普段から顔を合わせる人には口頭
- 遠方の親戚には電話
- 複数の親戚へ同じ内容を知らせるなら手紙やメッセージ
- 後から確認できる形で残したい内容なら手紙やメール
といった方法があります。
普段から電話でやり取りしている親戚へ、急に形式的な挨拶状を送る必要はありません。
反対に、久しぶりに連絡する親戚や、複数の内容を整理して伝えたい相手には、文章のほうが分かりやすいこともあります。
近所への挨拶も、顔を合わせたときに短く伝えれば済むことがあります。
大切なのは「どの方法が正式か」ではなく、相手に必要な情報が伝わる方法を選ぶことです。
親戚・近所への実家じまいの挨拶文の例
ここからは、実家じまいの挨拶文の例を紹介します。
そのまま使うというより、実際の状況や相手との関係に合わせて調整してください。
親戚へ伝える例
ご無沙汰しています。現在、実家の片づけを少しずつ進めています。今後の家の扱いについては家族で検討中で、まだ決まっていません。親族に関係する物が見つかった場合には、処分する前に一度連絡させてもらうことがあると思います。まずは実家の整理を始めたことだけお知らせしておきます。
まだ方針が決まっていない段階では、無理に結論まで伝える必要はありません。
親戚へ家の今後が決まったことを伝える例
ご無沙汰しています。以前お伝えしていた実家について、家族で話し合い、今後は手放すことになりました。これから家の中を整理していく予定です。親族に関係する写真や品物などが見つかった場合には、処分する前に確認させてもらいます。取り急ぎ、今後の予定が決まったためお知らせします。
必要に応じて、売却・解体・管理など、実際に決まった内容へ書き換えます。
近所へ片づけ開始を伝える例
いつもお世話になっています。これから実家の片づけを進めることになりました。作業の日には車の出入りや荷物の搬出などで、ご迷惑をおかけすることがあるかもしれません。できるだけ気をつけて作業しますので、よろしくお願いいたします。
家族の事情まで詳しく説明しなくても、相手に影響する内容が伝われば十分です。
実家が空き家になる場合の例
これまで親がお世話になり、ありがとうございました。今後、この家はしばらく空き家になります。家族が定期的に様子を見に来る予定です。何かお気づきのことがありましたら、ご連絡いただけると助かります。今後ともよろしくお願いいたします。
連絡先を伝える必要がある場合だけ、電話番号などを追加します。
親が亡くなったあとに近所へ伝える例
生前は親が大変お世話になり、ありがとうございました。現在、家族で実家の整理を進めています。今後の家のことについては、まだ決まっていない部分もあります。片づけなどで出入りすることがありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
亡くなった経緯や家族の事情などを詳しく説明する必要はありません。
売却や退去が決まった場合の例
長い間、親がお世話になりありがとうございました。このたび実家を手放すことになり、○月頃までに家の整理を終える予定です。今後、片づけや引渡しに伴って人や車の出入りがあるかもしれません。ご迷惑をおかけしないよう気をつけて進めます。これまで本当にありがとうございました。
日程がまだ確定していないなら、「○月頃」などと断定する必要もありません。
「今後、片づけや売却の準備を進める予定です」としておく方法もあります。
手土産は必須ではない
「実家じまいの挨拶に行くなら、手土産を持っていかなければ失礼なのでは」と心配になるかもしれません。
しかし、手土産を必須と考える必要はありません。
口頭で感謝を伝えるだけでもよい場合があります。
一方で、
- 長年、親が近所でお世話になっていた
- 特に親しい付き合いがあった
- 片づけや搬出で車の出入りなどが増える
- 工事などで一時的に迷惑をかける可能性がある
といった場合には、感謝の気持ちとして手土産を用意する選択肢もあります。
その場合も、高価な物である必要はありません。
相手が受け取りやすく、お返しを考えなくてよい程度のものを選ぶ考え方で十分です。
菓子やお茶、タオルなど、一般的な挨拶で使われる品から、相手との関係に合わせて選ぶ方法があります。
「いくら以上でなければ失礼」というものではないため、金額だけを基準に決める必要はありません。
また、何軒も回るからといって、すべての家へ同じように手土産を配らなければならないわけでもありません。
長年特にお世話になった人には手土産を持っていき、それ以外の近隣には口頭で知らせる、といった分け方もできます。
のしは必要とは限らない
手土産を用意した場合でも、のしは必須ではありません。
包装した品をそのまま渡しても構いません。
のし紙を付けたい場合、一般的な引っ越しの近隣挨拶では、紅白の花結びののし紙に「御挨拶」などとする案内があります。
ただし、実家じまいには、
- 親の施設入所による退去
- 親の死後の整理
- 空き家化
- 売却
- 解体
など、さまざまな事情があります。
一般的な引っ越しとまったく同じ場面とは限りません。
そのため、「実家じまいなら必ずこののし紙」と一律に考えなくて大丈夫です。
迷った場合は、のしを付けず包装だけにする方法もあります。
贈答店などでのしを依頼するなら、「長年住んだ家を離れるため、近所へ挨拶として渡したい」と用途を伝えて相談すると選びやすくなります。
地域や家によって慣習がある場合は、そちらを優先してもよいでしょう。
何を伝えるか迷ったら、この3点だけ確認する
実家じまいの挨拶には、「全員にこう伝えればよい」という一つの正解があるわけではありません。
迷ったら、まず次の3点を確認してみてください。
- 誰に知らせる必要があるか
- 今の時点で確定していることは何か
- 相手に影響することは何か
親戚であれば、家の今後や親族に関係する物について連絡が必要か。
近所であれば、空き家になることや、片づけ・工事による人や車の出入りを知らせたほうがよいか。
そこから考えると、伝える内容を絞りやすくなります。
まだ決まっていないことまで説明する必要はありません。
家族の事情や、親の病気、施設入所の詳しい理由、売却価格など、相手に伝える必要のない情報まで話す必要もありません。
実家じまいの挨拶は、形式を整えることよりも、
「必要な相手に、今伝えられることを、必要な範囲で伝える」
と考えるほうが進めやすくなります。
まずは、親戚・近所・これまでお世話になった人を書き出し、それぞれについて「今知らせる必要があるか」を一人ずつ考えるところから始めてみてください。